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音楽とITの可能性を探す、金川泰典のブログ

ピアノの譜めくりのコツと、失敗しないために気をつけたいこと

2016/06/26
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約 5 分

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「譜めくり」という言葉を知っていますか?

「譜」は楽譜のこと。「めくり」は(紙を)めくること。すなわち、譜めくりとは「譜面をめくる」ことです。何の事はない言葉ですが、この「譜めくり」という仕事があるんです。

この記事では、譜めくりという仕事と、譜めくりをするときに気をつけたいことを紹介しています。

「譜めくり」という仕事

譜めくり(譜めくりをする人を「譜めくりスト」とも言う)という仕事は、ピアニストの横に着いて譜面をめくってあげる人のことを指します。へー、そんな仕事あるんだ。と思う人もいらっしゃるかと思いますが、クラシック業界では割りとメジャーな役割です。

ピアノを独奏する場合は、ほとんどの人が楽譜を見ずに(=暗譜)で演奏します。しかし、暗譜するまで弾き込んでいなかったり、伴奏などの依頼演奏の場合は、プロのピアニストでも楽譜を見ながら演奏することがあります。そこで問題になってくるのが

楽譜をどうやってめくるか

です。ピアノは両手を使って演奏するので、楽譜をめくるときは大抵の場合、どちらかの手の音が抜けてしまいます。そこで、演奏会のときなどは譜面をめくる専門の人「譜めくりさん」を着けるのです。

譜めくりは結構緊張する

譜めくりさんはピアニストの左側、ステージ奥に座り、楽譜をめくるときに立ち上がって、楽譜をめくって、座ります。とっても地味なお仕事です。

しかしこの譜めくりという仕事、なかなかに大変な仕事です。ただ楽譜をめくるだけの仕事ですが、演奏者と一緒にステージに上がり、スポットを浴び、拍手を受け、ピアニストの演奏に合わせてタイミングよく楽譜をめくってあげる必要があります。そして、ステージの主役ではないので目立ってはいけません。

観客の入った本番のステージの緊張感というのは、自分が演奏しないとはいえ、かなり緊張するものです。しかも譜めくりさんは通常、直前のリハーサルで楽譜を初めて見ることになります。もちろん、ぶっつけ本番の時もあります。

そんなとき、譜めくりさんはどんなことを気をつければいいのでしょうか?

譜めくりをするときに気をつけたいこと

譜めくりをするときに一番大切なことは

演奏者の邪魔をしないこと

です。ステージ上で演奏をするとき、演奏者はものすごく集中しています。凄まじい緊張感です。そんなとき、譜めくりがアタフタしていると演奏者の方が気が散ってしまうのです。例えばこんな感じです。

  • めくってほしいところでめくってくれない
  • 隣でそわそわしている
  • あからさまに拍を数えている
  • ピアニストに近寄りすぎて左手が当たりそう

演奏者がこんな風に感じてしまうと、いい演奏ができないこともあります。それではせっかくのサポートが台無しになってしまいますね。ピアニストの邪魔をしないように、基本的には以下のようなことを考えながら対応します。

  1. 入場するときは、演奏者が拍手を受けて演奏の体制になるタイミングで
  2. 座っているときはできるだけ動かないこと
  3. 演奏に感動しても無表情でいること
  4. 立ち上がったときの立ち位置は、鍵盤にかぶらないように
  5. めくる前は事前に左手を楽譜に手をかけて確実に次ページ(1枚)を確保する
  6. 着ている服がピアノの邪魔にならないように注意する(必要なら右手で抑えておく)
  7. めくるときは音を立てずに素早く
  8. めくった後は、めくりミスがないか確認する
  9. ミスがないことを確認した後は、ページの戻りがないように注意(硬い紙や新しい楽譜だとよくある)
  10. 立ち上がっている時、演奏に動きがないところ(伸ばしや休符)ではできるだけ動かない
  11. めくり終わって椅子に座るときは、音を立てない
  12. 演奏が終わったら、立ち上がってピアノの影に待機、演奏者の後でひっそりと舞台袖に引っ込む

地味だけど意外と大変なんですよね、譜めくり。あれこれ考えながら対応しないといけないとなれば、それなりにプレッシャーもかかります。

譜めくりを頼まれたときは、演奏者と打ち合わせをしよう!

上で紹介したように、譜めくりさんはいろいろ考えながら対応しないといけないので、それなりに緊張してしまうものです。その緊張の理由は

「間違えたらどうしよう」

というのが一番大きいでしょう。この不安を解消するために、ピアニストと少し打ち合わせをしておくのがオススメです。打ち合わせのポイントは次のような箇所です。

1.楽譜の注意点を確認する

譜めくりさんがよく知っている曲ならいいですが、初めての曲や現代曲などの場合、予想もつかないことが起こることもあります。リピートのある曲、カットの場所、テンポが急に変わるところなど、ただ楽譜を追っていくだけでは対応できないところがないかなどを、事前に確認しておきましょう。ピアニストも練習の時に譜面を自分でめくっているので、どこがわかりにくいか、よく知っているはずです。

2.めくるタイミングを確認する

伴奏に慣れたピアニストの場合、譜めくりに対して合図を出すことができます。大抵の場合は、めくっていいところで頷いてくれます。たとえ慣れない曲で音符を見失ったとしても、早めに準備して合図を逃しさえしなければ大丈夫です。楽章間のめくりはピアニストがやることが多いので、そこも確認しておくといいでしょう。

これらの事前確認をしておけば、不安も少しは和らぐはず。ちゃんとコミュニケーションをしておくことが大切なんですね。

まとめ

「譜めくり」という地味な仕事の紹介でしたが、意外と奥が深いです。ピアノ伴奏のあるリサイタルなどでは譜めくりさんが登場することも多いので、注目してみると面白いかもしれませんね。

もし、自分がやることになった場合は、この記事で紹介したチェックポイントを参考にしていただけると幸いです。